かぜについて。
卒業試験の呼吸器内科の問題です![]()
かぜ症候群について誤っているものはどれか。1つ選べ。
a (略)
b (略)
c (略)
d 発熱は、感染に対する正常な生体反応である。
e かぜ症候群では、ウイルス性でも細菌感染予防のために抗菌薬を併用することが望ましい。
さて、この問題、まずどう見てもeが間違いです。
かぜ症候群、つまり一般的に言う『風邪』の原因は、ライノウイルスという、『ウイルス』です。
ウイルスには、抗生物質(=抗菌薬)は効果がないばかりか、無駄な抗生物質の使用により、耐性菌の蔓延を助長してしまいます。
抗生物質は、細菌感染が特に疑わしい場合に使用されるべきです。
よく、外来で、風邪引いたから抗生剤くれ、という患者さんがいますが、これは全く効果がないばかりか、むしろ悪影響なわけです。
しかし、風邪は、だいたいほっとけば数日で治るので、患者さんとしては『抗生剤飲んだら治った』と誤解して、また次も使いたくなるわけです。
医者の側としても、特に開業医の先生方としては、患者の頼みを断って悪い印象を与えたくないということで、わかっていながらも処方せざるを得ないのです![]()
まあそんなダークな話は置いといて、dの選択肢はどうでしょうか。
特に医学の知識がなくても、『風邪っていうのは、悪いバイ菌が外から入ってきて、それを追い出すために体が頑張って戦ってるんだよ』と親や保健室の先生から教わったりした人も多いと思います。
つまり、熱や咳や鼻水などは、からだがバイ菌を追い出している『正常反応』であると。
しかし、たまたま試験数日前に、Yahooニュースでたぶんこの論文に関する記事を見ていたので、dの選択肢で戸惑ってしまいました。
Gene expression profiles during in vivo human rhinovirus infection: insights into the host response.
Proud D, Turner RB, Winther B, Wiehler S, Tiesman JP, Reichling TD, Juhlin KD, Fulmer AW, Ho BY, Walanski AA, Poore CL, Mizoguchi H, Jump L, Moore ML, Zukowski CK, Clymer JW.
このカナダのグループの研究によれば、
ライノウイルスはヒトの免疫機構に関わる遺伝子部位を改変することで、異常な免疫反応を引き起こしていることがわかった、とのこと。
以下、Conclusionだけ引用。
“Rhinovirus infection significantly alters the expression of many genes associated with the immune response, including chemokines and antivirals. The data obtained provide insights into the host response to rhinovirus infection and identify potential novel targets for further evaluation.”
今まで対症療法中心だった風邪の治療も、抗ウイルス薬などを用いた治療に変わるかもしれません。
なので、dも間違いで、不適切問題かな〜と思ったのでした![]()
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